アーセナル、ブライトンに完敗で露呈した弱点 アルテタが進める戦術改革の成否は?

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ミケル・アルテタ監督の下で進化を続けるアーセナルだが、インターナショナルブレイク前のブライトン戦では0-3と完敗を喫した。昨季までの安定感を武器とするチームは、今季さらなる戦術的変化に取り組んでいる。しかし、新たな挑戦にはリスクも伴う。ブライトン戦で露呈した課題と、アルテタ監督が目指す次の進化を分析する。

アルテタ監督が進める新たなチーム改革

2019年にアーセナルの指揮官に就任したアルテタ監督は、これまでチームのスタイルを何度も変化させてきた。

就任初年度には守備を重視し、最終ラインに5人を並べる戦術も採用しながらFAカップを制覇。その後は2022年に象徴されるような流動的で攻撃的なサッカーへと移行し、最終的には試合の展開をコントロールし、相手に自由を与えないフィジカルの強いチームを作り上げた。

そしてプレミアリーグのタイトルを獲得した今、再び新たなチーム作りに着手している。

タイトル獲得によって自信を深めたのか、アルテタ監督は選手起用や戦術面で以前よりも大胆な選択をするようになった。しかし、リスクを取ることで勝利の可能性が広がる一方、敗戦の危険性も高まっている。

昨季のアーセナルは、リーグ戦で2点差以上の敗北を一度も経験しなかった。マンチェスター・シティを勝ち点7差で上回ってシーズンを終えたチームにとって、ブライトン戦の0-3は異例の結果だった。

もっとも、今季はこの敗戦まで公式戦で勝利を重ねていた。1試合の結果だけで新戦術を否定することはできないが、今後の進化を考えるうえで重要な試合となった。

ライスを最終ラインへ下げる「3-1-6」の新システム

昨季のアーセナルでは、マルティン・スビメンディが中盤の底を担い、デクラン・ライスがその左側で攻守に動くボックス・トゥ・ボックスの役割を務めていた。

シーズン終盤には勢いを失いかけたものの、マイルズ・ルイス=スケリーを守備的ミッドフィールダーとして起用したことがチームに活力を与え、最終的な成功につながった。アルテタ監督は今季も20歳の同選手を重要なポジションで起用し続けている。

今季のアーセナルは、ボール保持時に「3-1-6」の配置を形成する。ライスが前方へ飛び出すのではなく、最終ラインに下がり、エズリ・コンサとガブリエウ・マガリャンイスとともに3バックを構成する形だ。

その前方では、ルイス=スケリーが1人で中盤の底を担い、最終ラインと攻撃陣をつなぐ役割を果たす。

さらに、リッカルド・カラフィオーリ、ベン・ホワイト、マルティン・ウーデゴールらが状況に応じて低い位置へ移動。中盤の配置を「3-2」や「4-1」に変化させることで、相手のマークを混乱させ、数的優位を作り出している。

こうした動きによって、アーセナルは相手のプレッシングを回避しながら前進できる。

ウィリアム・サリバが不在の状況でも、コンサはボールを扱えるセンターバックとして機能する。また、ライスを後方で前向きにボールを持たせることで、優れたパス能力と推進力を最大限に生かせる。逆に、背後から相手の圧力を受けながら狭いスペースでプレーする時間を減らせる点も利点となる。

ルイス=スケリーが新システムの鍵を握る

新システムで欠かせない存在となっているのが、ルイス=スケリーだ。

プレッシャーを受けても冷静さを失わず、ボールをキープする力に優れ、1対1で相手を抜き去るドリブルも備えている。さらに、自ら仕掛ける判断や前線への縦パスを選択する積極性も持ち合わせている。

こうした能力が評価され、イングランド代表のトーマス・トゥヘル監督も今回のインターナショナルブレイク中、アーセナルでの起用法を参考にした。

イングランド代表では、エリオット・アンダーソンがライスと同様に最終ラインへ下がり、後方の3人を形成。その前方でルイス=スケリーが中盤の底を務める形が採用された。

一方、ブライトン戦でアーセナルが苦戦した要因の一つとして、ルイス=スケリーではなくブルーノ・ギマランイスがこのポジションで起用されたことが挙げられている。

ブライトンのファビアン・ヒュルツェラー監督は、ボール保持時も非保持時も高い強度を維持する戦術を徹底している。そのプレッシャーをかわすには、優れた技術だけでなく、適切なポジショニング、動き出しのタイミング、味方の意図を理解する能力が必要だ。

ルイス=スケリーはすでにこの役割を経験しているが、ギマランイスにとっては適応の途中だった。ブライトンの効果的なマンツーマン守備に対し、難しい状況で起用されたことが影響した可能性がある。

ブライトンのマンツーマン守備がアーセナルを圧倒

ブライトンが勝利を収めた最大の要因は、アーセナルにとって慣れない展開を作り出したことだった。

ヒュルツェラー監督のチームは、単に自陣に引いて守るのではなく、状況を見極めながらマンツーマンのプレッシングへ切り替えた。これにより、アーセナルの選手たちはボールを受ける際に時間とスペースを失い、普段なら選ばない判断を強いられた。

アルテタ監督も試合後、次のように振り返っている。

「最初のスローインから明らかだった。我々は1回、2回、3回と自ら危険な状況を招いてしまった。もっと素早くそこから抜け出す必要がある。今日の試合から学ぶべき最大の教訓の一つだ」

アーセナルは普段、球際の強さを武器としている。しかし、この試合ではパスが緩くなり、ボール周辺に複数の選手を集めるブライトンの守備に押し込まれた。

ブライトンは自陣深くまで押し込まれた場合、いったんゾーンで守備を整える。それでも、相手のバックパスなどを合図に一気にマンツーマンへ移行し、アーセナルの選手を捕まえにいった。

アーセナルは相手のマークを外す選手を見つけられず、後方からのビルドアップを妨害された。

通常であれば、相手が自陣に引けば、アーセナルは敵陣深くでボールを保持し、守備ブロックを崩していく展開を想定できる。しかし、ブライトンはその状況でもプレッシングのタイミングを見極め、予測しにくい守備を続けた。

結果として、アーセナルは自分たちが得意とする展開に持ち込めなかったのである。

アルテタ監督はブライトン対策を見つけられるか

ブライトン戦は、アーセナルにとって新たな課題を突きつけるものとなった。しかし、アルテタ監督がこうした問題に対応するのは初めてではない。

昨季のカラバオカップ決勝では、ペップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティが守備時に「4-2-4」の配置を採用。アーセナルの最終ラインにはボールを持たせながら、中盤中央へのパスコースを封鎖する戦術で勝利をつかんだ。

今季のコミュニティ・シールドでは、シティの新監督エンツォ・マレスカも同様の守備戦術を採用した。しかし、このときはアーセナルが対策を準備しており、シティの狙いは機能しなかった。

アーセナルは技術と複数のポジションをこなせる選手たちを生かし、相手の守備配置に対応。準備期間を確保できれば、攻略法を見つけられることを示した。

ブライトンのように高い完成度でマンツーマンのプレッシングを仕掛ける相手への対応は簡単ではない。それでも、これまでのアルテタ監督の実績を考えれば、相手のプレッシングの効果を抑える解決策を見つける可能性は十分にある。

攻撃の流動性を高めるアーセナル、変化は必要か

今季のアーセナルは、攻撃面でも新たな変化を見せている。特に右サイドでは、従来よりも非対称で流動的なポジションチェンジが目立つ。

カイ・ハフェルツは右タッチライン際へ移動し、右サイドバックのホワイトは高い位置まで進出。ブカヨ・サカはサイドに張るだけでなく、中央へ入り込む場面もある。ライスやウーデゴールもボールを受けるために右側へ移動する。

こうした動きは、狭いスペースでの連係やポジションチェンジ、局面での数的優位を生み出すことを目的としている。

相手をピッチの片側へ引き寄せることで、中央や逆サイドにスペースを作り出す。この仕組みは今季の得点にもつながっている。

右サイドに右サイドバック、守備的ミッドフィールダー、トップ下、右ウイングが集まり、ハフェルツをサポートする形もその一例だ。短時間のうちにホワイト、ハフェルツ、サカがポジションを入れ替えるなど、攻撃の流動性も高まっている。

これまでの成功を支えてきた戦術から離れ、新たな解決策を模索するアルテタ監督。その狙いは、各クラブが戦力を整え、アーセナルとの差を縮めようとするプレミアリーグで、再び優位性を築くことにある。

もちろん、ブライトン戦のように新戦術がうまく機能しない場面も出てくる。しかし、首位を争い続けるチームにとって、変化を避けること自体が大きなリスクになり得る。

土曜日のリーズ戦は、ブライトン戦で露呈した問題に対し、アルテタ監督がどのような修正を施すのかを確認する機会となる。アーセナルの進化は、失敗を乗り越えながら新たな形を確立できるかどうかにかかっている。

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